Novel / Vol.1 — 発売中
少年探偵のデジタル・スケッチパッド 第1巻
東京から、加須へ。
一台の「デジタル・スケッチパッド」を手に、
少年と少女が、街に眠る"見えない歴史"を辿りはじめる。
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物語の入り口を、二つの場面から。
序章 / 引っ越しの道
段ボールを積んだ車の後部座席で、僕は窓の外を流れる景色をぼんやりと眺めていた。雨粒が叩きつけるフロントガラスの向こう、首都高のビル群が灰色の壁のように流れていく。聞きなれた車の走行音だけが、やけに大きく響いていた。
「新しい学校、楽しみだな」──運転席の父さんが、バックミラー越しに明るく言った。でも、僕は「……別に」と短く返すのが精一杯だった。東京の学校には、昨日まで一緒に笑い合っていた友達がいた。もう、あの教室には戻れない。
──やがて、車は加須インターで東北自動車道を降りる。空が、急に広くなった。
第6章 / 街の境を越えて
「海堂くん、落ち着いて」──パニックになりかけた僕の手を、穂乃香がそっと握った。その温かさに、僕はハッと我に返る。「デジタルがダメなら、自分たちの目で見ればいいよ。おじいちゃんは、機械がなきゃ解けないようなパズルを残したりしないはずだわ」。
僕は深呼吸をして、顔を上げた。真っ暗な画面ではなく、目の前に広がる「本物の景色」を見る。Y字に整備された用水路。区画整理された田んぼ。点在する古い石碑──健三さんは、この風景の「何」を見て、ここに証拠を隠そうと決めたんだろう。
──デジタルが沈黙したその先で、僕たちは"アナログな感性"と"記憶"を頼りに進む。
──物語の続きは、本編で。

